夏にきものを着るということ

暑い夏ももうすぐ。
夏は大好きなシーズンだ。

自分で着物を着るのもほとんど単衣から夏場が中心になる。

秋やお正月・春先はやはり着付をさせていただくことが立て混むので
なかなか自分できものを楽しむ時間がとれないせいもあるが。。。
 軽くて、意外と涼しいし
素材好きなのでいろいろ探して面白い素材を着てみたいと思う。

どちらかというと柔らかい物より
コシがある麻や紋織りの着物などが着易くて好きだ。
 麻は着た後すぐに洗ってしまうことも出来るし着るほどに身体に添ってくる経過も楽しめる。

気温が30℃を超えるともう夏物を着てしまう。

それが6月上旬でも夏大島などの夏紬類は絽や紗よりも目が詰まっていて
透け感がやや抑えて見えるから重宝。

麻混の綿の着物もやはり6月の暑い日から出動である。

 
 monsya

  
↑西陣の紋紗着尺 


 

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藤井絞さん:麻混木綿きもの(浴衣としても着用可)


数年前より襦袢や肌着も麻にした。

身体と布との間に空気が入ってそれは涼しい。

 もっときものを楽しむ人が増えるといいなぁと考える際に
夏のきものの楽しみがわかるとそれがかなり着物生活全体へ影響が出ることに気がついた。

ゆかたを着るだけではなかなか着物へ繋げるのは難しいかもしれない。

でも、ゆかたを麻混の物にして衿をつけて出かけるだけで
ちょっとこなれた着方になり、
そのまま秋の着物も自然と着られるようになる。



ちょっとした情報・工夫できものファッションが楽しめるのが
やはり夏物の良さなのではと思う。
季節や時節のとらえかたが難しいという人も多いが、

自分の楽しみで着るのであれば暑かったら涼しそうに着る、ということでいいのではないかと。


また、半幅帯に正統性が出るのも夏。
麻きもの+半幅帯が私の定番スタイルでもあるがw

半幅帯は背中がお太鼓より数段涼しく、軽いのでとにかく楽。

前で結べるしね


そういった夏のきものを着る機会を
今年も作った。
以下どなたでも参加できるのでぜひ!!!

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓


      


【夏きものの集い @嵐山】


今年は街中の喧騒をはずれた深緑の嵐山で開催です。

早めに到着して嵐山散策もお楽しみください。

夏の着物を着たい方、どなたでも参加できます!!!


2013年7月2日(火)18:30~20:30頃
会場入場受付は18:00より
会場:嵐山琥珀堂
GoogleMAP 
(嵐山琥珀堂のピンマークをクリックしてください)

会費 5,000円(フリードリンク)


レトロな洋館でカジュアルフレンチのビュッフェです。

嵐山の竹林の道のすぐ近くで
元結婚式場の広い洋館でテラスもあります。
   
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[アクセス]
JR嵯峨野線 『嵯峨嵐山』下車徒歩5~6分
阪急嵐山線 『嵐山』下車徒歩約7~8分
京福電鉄(嵐電)『嵐山』下車徒歩3分
市バスは28番『野々宮』バス停下車スグ

[ドレスコード]
夏のきもの、または浴衣に衿と足袋着用にて。
(お仕事帰りで時間がぎりぎりの場合は洋服でも可)
当日は店内2Fに着替え用の個室を使うことができます。
このパーティ参加の方には着付ご希望の方へ無料で宇ゐが着付をします。(事前にご希望をお知らせいただけたら幸いです)
着崩れなどのお直しも宇ゐが承ります(v^ー°)
どうぞ安心してお着物で!
 [お申込み方法]

 ① http://www.ui-kimono.com/mail/index.html
 
          ↑お申込みフォームです。
【きものなれゐて】お申込みのラジオボタンをクリックしてください。
② info@ui-kimono.com へ直接メール
         

嶋原 菊川太夫さんとのひととき

連休最終日は“こったいさん”お手前のお茶会に参加。
“こったい”とは嶋原(島原)の太夫さんのこと。

花魁(おいらん)と混同してしまいがちだが、“花魁”は江戸吉原遊郭の遊女を言う。
京都島原の太夫と江戸吉原の花魁とは、その着付もヘアスタイルも、歩き方、使う言葉も違う。
“こったい”とはかつての島原の名妓が能狂言に“凝った”からとも“こっちのたゆう”からとも言われる。

今日のイベントは三十三間堂の東向かいにある『法住寺』さんでの【華燭の会】。
菊川太夫(所属は置屋くし菊)さんのお手前でお茶をいただいた。

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元高砂太夫さんをおかあさんにしている菊川太夫さんはお茶は『藪内流』。

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法住寺さんの庭園内の松越しにみえる待機中の禿(かむろ)ちゃんの背中。
金駒刺繍で「菊川」と縫われている。太夫さんの出演には2名の禿が付き添い、お茶のお運びを手伝ったり。

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きれいに咲いていた青紫の花は調べたら『シラー・ペルビアナ(大蔓穂-オオツルボ-)』という名前らしい。
お寺にあるので和花かと思いきや違ったw

お茶の席へ案内されてお手前へ。(↓お手伝いをされている方デス)
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いよいよ菊川太夫さんの登場。
お手前最中は撮影できないのでこれは終わってからの撮影許可後。

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髪飾りは鼈甲や塗りの櫛・八本の笄(コウガイ)・簪などで5キロほどにもなるとか。
それに打ち掛け、丸帯などで相当な重量。
太夫道中となると三枚歯の黒塗りの高下駄が片方約2キロ。
足袋は履かず一年中素足(現在は時に足袋も履くらしいが)で
衣装に夏物がないとのことなので、夏は暑く、冬は足が冷たいそうだ。

重さもあり、着付・帯結びはおかあさんに手伝ってもらいながらでないと難しいらしい。
衿を返して赤い色を見せているのは禁色の赤を着られる身分であることを表しているとのこと。
帯は高貴さの証の前帯。“心”の文字をかたどった五角形の結び方。

紅は下唇のみ。祇園では芸妓になると上唇も塗るが太夫はずっと下唇だけ。
お歯黒は殿上に上がれる位の者は白い歯を見せるのははしたないとされるため。

これらの支度は今は現役の太夫さんたちがその様式美を伝えている。
お座敷でなくてもこのようなイベントなどで我々もその姿を見てその歴史に触れることができる。

ちなみに文様の名前で「吉野間道」は嶋原の名妓吉野太夫が中国広東省の縞を好んだということから出来た名前とのこと。


このイベントを紹介していただいた知人。
今日の着こなしも素敵だった。
おばあさんの気に入った柄の着物があったが、寸法が合わなかったために
自分用に復刻させて染めてもらったそうだ。

快晴の空のもと、杜若色が美しく映えた。

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お茶席後は松葉のお蕎麦を

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関西在住の方は
2013/05/12(日)6:45~7:00にてMBS毎日放送「美の京都遺産」2007年の再放送で“常照寺”放映。
常照寺は京都の鷹峯のお寺。嶋原の名妓“二代目吉野太夫”のお墓がある。
毎年4月第二日曜日に“吉野太夫花供養”が行われ、太夫道中を観ることができる。
番組では恐らくその太夫道中の様子をとらえているハズ。

また、今回のようなお手前観賞やほかのイベントへ参加ご希望の場合は
角屋文化美術館さんのサイトにて太夫さんのお手前観賞会がUPされたらイベントに申し込まれるか、
置屋くし菊】さんのサイト新着をチェックして参加申し込みを。
    

【なれゐて探究会】-麻-

今回の【なれゐて探究会】は夏までもうすぐということで“麻”の探究。

JR宇治駅近くにアトリエがある『青土』さんにてのワークショップである。

私自身も数年前より麻への興味が深くなってきていて、
行ける産地には極力足を運んでいるが
ここ青土さんの麻はやはり“本物”といえる場所だ。

もともと麻は絹のはるか以前より衣服として着られていた。
・・・というか、着るものは麻(葛もあったが)しかなかったのである。
現代は麻=夏だけという認識だが、
絹も木綿もなかった時代には
草の葉から繊維をこそいだり、叩いて柔らかくしたり、裂いて細くして糸を取り、あるいは細かくくだいて綿状にして糸を引いて布に織り上げて衣服としていた。

麻と一口に言うがその種類は実に多く、
大麻(ヘンプ)や苧麻(からむし・ラミー)亜麻(リネン)などなどがその主なもの。
世界レベルでは麻の歴史はリネンが最古といわれているが
日本にこのリネンが持ち込まれたのはかなり後世(明治期)で、
日本での麻は長年“大麻”のみを指していた。
きものの柄にある「麻の葉」文様はこの大麻の葉の文様だろう。
しかし現在の“家庭用品品質表示法”でいう“麻”は
残念ながら大麻は入らない。苧麻(ラミー)と亜麻(リネン)のみを指す。
ここで大麻と聞いて(-ω-ll) ウームとなる方はこちら(麻の総合利用研究センターレポート)をぜひ。


さてこの度の【なれゐて探究会】ではその麻の分類や認識の説明などおおまかな説明。
これからの暑い時期に備えての素材として麻を少しでも知って欲しいとの思いも含め、
青土の橋本さんからいろんなお話を伺えた。

湿気や水が大好きな麻を上手に“手なずける”と
シワ対策や汗対策も想像するほど難しくないということも理解していただけたかと思う。

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そして短い麻の繊維から、きものを織るほどの長い糸にするための
“撚り繋ぎ”という方法も実際に間近で見ることができた。

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現代はちょっとした気候の変動で6月の真夏日も増えて、すぐに30℃近くにまで気温が上がる。
きものをその時期に着るのには季節を守るということも大切だが
それよりもやはり暑苦しくない着こなしで“涼感”が大事。
お祝い事やお茶会などの改まった席でなければ
あづい~~~~~ヽ(;;;´Д`)ノという日にはさらりと麻の着物で出かけたいもの。
ちなみに日本では麻の着物は普段着扱いとなるため礼装では着にくい。

でも実際に涼しいし強い日差しからも肌を守る。
肌着や襦袢、足袋、ショールなどに麻素材のものを選ぶのも効果的。
一年を通してきものを楽しみたいと考えるとこの暑い夏をどう楽しく乗り切るかは毎年やってくる季節だけにぜひおさえたいのだ。

夏は着物は暑い、ではなく
麻の着物で夏こそ涼しく出かける、、、と考えて
そろそろ夏の準備を始めませんか。

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Author:宇ゐ
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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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