半衿いろいろ

秋の衣替えとなった。
朝晩はもちろん、今日の京都は冷たい雨が降って重ね着をしなくては日中も寒い。

目下、恒例の半衿の付け替え作業の真っ最中である。
今やいろいろな半衿があり、椅子に座って接客のお仕事をされる着付のお客様たちは
これらのこだわりも大事な要素となっている。
前年と同じ着物をきるのでも、“気分”や“マイブーム”で衿を変えていくことは多い。

はずす半衿やこれから縫い付ける半衿などをいくつかご紹介。

まずは白系半衿から。

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  左から、白地に白い楓刺繍・白地にシルバーのビーズ刺繍・そして白の組み半衿。
 ビーズ刺繍と組みの半衿はあまり一般的には少ない素材。
 薄いグレーや紫系、白地の訪問着などに敢えて使ったりする。
 楓の刺繍は本加賀や刺繍の訪問着など格の高いきものに。
 組みの半衿は素材感が楽しく、紬などにも。  宇ゐもよく使う。


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  この青みがかった紫は帯の色を意識している。
 モノトーン系着物に重宝。刺繍に色を使ってないので意外とうるさくない。
 地色の青紫は着たときにはあまり目立たず白の刺繍が引き立つので結構明るい印象。
 桜の刺繍なのでお正月からがいいかな。でも基本的には古典文様なので秋でも可。
 半衿選びは刺繍が多い時には生地色があまり立たないので
 地色半分を手で隠して衿に見える部分で判断することが大事


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  ↑黒地にいぶし銀色のビーズ半衿と笹の刺繍半衿。
 銀ビーズは薄い色のきものにも合うが、笹の方はきものの色ももちろんだが柄のイメージも
 やや限定される。 優しい柄のきものには少しシャープすぎるかな。


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  ↑ビーズ半衿二種。 白糸にパールビーズとグレーに同色のビーズ編み。
 ビーズ半衿は夏も冬も、縮緬にも御召にも紬にも使える便利なもの。
 襦袢を着る時に冬はひんやりするが夏は気持ちイイ。衿汚れも付きにくく
 “おしゃれしている”感たっぷりとなる。 やや衿が重たくなるのと、
 きものの素材によってはビーズで衿が滑る場合もあるので着崩れを直す配慮は必要


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  ↑『青土』さんの“特上麻”という手織り麻素材の半衿(宇ゐの仕事着の二部式襦袢につけている)
  実は『青土』さんに四角い端切れをいただいて真ん中を接いで半衿にしてしまったもの。
  透けないのでこれからも紬きものにも使おうと思っている。


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  ↑来年の夏用につける予定の絽の小紋端切れ。(自分用w)
 たっぷりあるので接ぐ必要はなさそうである。 し...しかし




 この半衿に合う夏きものはまだない... ミ(ノ_ _)ノ=3 ッ!

 

結城紬龍田屋さん 銀座の個展で。

結城紬の工房龍田屋さんによる個展では午前と午後で講習会があった。

午前は結城紬の糸のこと・染めのこと・糊付け、織りのことなど
龍田屋の社長さんによる説明。

みなさんメモを取られる方もいて、熱心に聞いておられた。


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午後は宇ゐの着方・結び方講習。
参加希望の方がそろったところで聞きたい、知りたいことを逆にこちらから質問^^
やはり角出しの結び方や、半幅帯の簡単なもの・タレ付き貝の口の結び方等々。
そして襦袢の着方のコツや衣紋抜きの使い方、おはしょりをきれいに作る方法なども。

実際に来場された方の帯をちょっと遊ばせていただいて結んだりもした。

絣の名古屋帯(京袋だったかな^^;)でお太鼓系ではない簡単な結び方で・・・
スベリにくい帯だとこういう楽しみ方もできる。

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角出しのアレンジで山にタックをとり、タレを斜めにすると

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    こんなカンジ。


ネットのいろんな場所で公開している内容だったのだが
やはり見ていただいた方がわかりやすかったのではないだろか。

とにかく回数をこなしているうちに発見もあるし、
実際に知りたいこと、できないことが明確になると、それらを乗り越えながら
徐々に楽にきれいに着られるようになるものだと思う。

会場で私が着ていた襦袢についていた半衿も麻の端切れで作ったもの。
9月に入ってまた暑さがぶり返していたので
単衣は着ていたのだが半衿は麻を急きょ縫っていった。
麻布(あざぶ あさぬの)は、『青土(あおに)』さんという麻素材専門の工房でいただいたものだ。
ピーニャという透ける麻で50センチ四方ほどの布。それで半衿はできてしまう。



何を着るかを見極めながら、“どう着るか”もきものの楽しみだ。
“何をどう着たいか”という方向がぼんやりとでも見えてきたときには
気がつくとどっぷりとその世界にはまっている。

しかしそこは衣服なので深くさぐる楽しみと、サササと着て出かけるだけの“用途”と
行きつ戻りつでよいのかもしれない。

とにかく構えずに楽しむことが大事

結城紬工房 銀座個展

去る9月5日~10日 銀座四丁目近くのギャラリーで
結城紬を製作している『龍田屋工房』さんの個展があった。

私は前半三日間、午後からの着方・帯の結び方講習で講師をさせていただいた。
参加された方たちが知りたいと思っておられる内容での
かなり柔軟な対応での講習だったのだが
みなさん熱心に聞いたり質問されたりで私もすっかり楽しんでしまった。

ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました<(_ _)>


ギャラリーはそれほど大きな場所ではなかったのだが
結城紬のみの展示とすると十分な広さ。

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写真ではけっこう広そうに見えますル。

そしてこれぞ結城紬の象徴『地機(じばた)』の展示。↓
実際に織って見せてもくれた。
機に掛かっているのは九寸帯。

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結城紬の商品は“本場”と呼ばれる証紙が貼られた検査・基準をクリアしているものと↓

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龍田屋工房独自の工夫で出来上がったオリジナル。↓
草木染めのものもここに入る。
    
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ちなみにどちらも手機で織られている『結城紬』であることに変わりはない。


そしてこれが『袋真綿(ふくろまわた)』。結城紬の原材料である。

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きもの生地はふつう、繭から抽出された糸をより合わせた『生糸』で織られるが
結城紬は繭をこのような袋状態の真綿にしてから糸を引く。
引かれる糸には撚りがほとんどかかっていないために
空気を含みやすいふんわりとした風合いの生地が生まれるのだ。

結城紬の軽さやマットな質感は肩凝り持ちの私にはとてもありがたい。
すべりにくいので着崩れを防ぐために紐で締める必要もないところが気に入っている。

講習の様子は次に。



大島紬リフォーム

少し前、箪笥の整理をしていたら父の大島紬が出てきた。

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泥染めのいい色をしていたので着てみたいと、思い切ってほどいてみる。
30?40年ぐらい前に作ったものだろうか。
けっこう大事にしていたとの話なので痛みはほとんどなくさくさくと“解き”ははかどったのだが
数日間はほどいた時に出る糸にまみれる・・・


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そして、めでたく羽織と長着との二反の着尺ができた 

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いつも出している悉皆(しっかい)やさんで端縫いをしてつないでいただき、
洗張り→スジ消し→寸法直し(身丈接ぎ)の後に私のサイズでの仕立てをお願いする。

男物はおはしょりがない分、女物に仕立て替える際は身丈が足りなくなる。
父は小柄だったので羽織の袖を使って胴に接いでもらった。
当然羽織には袖がなくなるが、袖なしの“陣羽織”にはなる。
柄も細かいので接ぎ目はほとんどわからない。


かくしてちょっと渋めだが大島紬を一枚ゲット

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お太鼓では渋さに拍車がかかりそうだったので半幅帯で少し楽しげに着ようかと思う。
貝の口やお太鼓で割烹着を着たら“フネ”さんになりそうw(それも良しなのだが)

次は同じく父の黒い紬の無地があるのだが、それも・・・とは思いつつ
あの“解き”での糸くずやほどいたパーツとの格闘を思い出すと
なかなか取り掛かれない・・・・

もう少し涼しくなってからにしよう。。。(-_-;)


                      


     
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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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