ムガシルクのきもの

“ゴールデンムガ”という名前の紬がある。
名前の通り黄金色に輝く布だ。

その貴重なムガシルクに出会うことができた。
布自体はかなり以前から見て知っていたのだが
今回は祇園のお客様のきものとして仕立て上がりを触ることができたのである。


  muga3


ムガシルクとも言われ、インドアッサム地方で産する野蚕(やさん)から紡がれる。
食べる葉の種類でこのように金色の糸で繭を作るのだが
自然の中でとれる繭自体も少ない上に糸はわずかしか取れない。
そしてその細い糸で手織りされ、品の良い光沢のある極上の布となる。
日本で後染めをされるものもあるが、今回の布は染めは一切されていない。




      muga3

見ての通りなんと! 総『汕頭(すわとう)』 である。

生地がムガシルクという上に
一反全部に汕頭刺繍がされている超贅沢なもの。
インド→日本→中国→日本と、とてつもない長旅をしてきた布なのだ。
透けるので胴裏+八掛けではなく、表と同色の総裏での仕立て。
布がとにかく軽いのでおそらく汕頭でなくても単衣は無理だろう。
総裏を付けてちょうどいい感じの重さになった。(それでもかなり軽い)

極細の糸で織られた布は注意しなくてはならない。
生地が薄くなるので暑くなってきた時期によさそうなのだが
立ち上がったりした時に上前が摩擦と軽さでストンと落ちずに
まとわりついたままとなることがある。
そういう布はやはり袷仕立てでないと着にくい。

このきものにはやはりインド野蚕の袋帯を合わせる予定。
色はブラウン。赤い色糸でオリエンタル柄の中国刺繍がほどこされている。


さて、このきもののジャンルは何かというとやはり“訪問着”であろう。
訪問着は染めが絵羽づけで裾や肩に柄があるものとされているが
この豪華さは附け下げと言えるものではない。
刺繍が入っているので無地ではなく、もちろん小紋でもない。
細かな条件設定を超越して
このように格付けのみで“訪問着”としているものがあるのだ。



ところで、、、、ただひとつ大きな不幸がある・・・
お客様がこのきものを着る大事な日に私が京都を留守にする・・・
オーマイガッ・・・




  (でもコーディネートが揃ったら試着していただいちゃおーっと  )




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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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