川平織

沖縄の離島の織物は木綿や麻を素材にしたものが主力である。
つまり絹糸で織られたものは少ないのだ。

離島の絹織物は『与那国花織』『久米島紬』そしてこの『川平織』ぐらいだろうか。
                 (もし他にもありましたら教えてくださいませ^^;)
特に石垣島はそのほとんどが麻素材の上布と木綿のみんさー織。
一部“ぐんぼう”と呼ばれる交織布があり、経糸(たて)が木綿で緯糸(よこ)が絹糸のものもある。

石垣で唯一と言ってよい絹織物『川平織』は川平湾近くの『からん工房』さんで織られている。

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かつてはこの川平地域では養蚕もされていたとのこと。
そこで収穫される繭やここの自然の草木を染料にして川平織は生まれた。
現在は時代の変遷とともに養蚕は行われなくなってしまったが
染めの材料は今もこの地のものこだわっている。
                (藍のみ本島の琉球藍で)

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     左がガジュマルで染めた糸を乾かしているところ。右は琉球藍かな。

その他の島の染め材料となる植物はコチラ

いきなりだったのだが訪れたのは日曜日。
工房の作業はお休みだったので織っている様子は見学できなかった。
だがその分ゆっくりお話を伺うことができたのは嬉しかった。

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     製織途中の九寸帯。

そのほかにも試行錯誤して出来上がった織見本なども拝見したが
どれも草木染の優しい色合いで、細かな織りの組み合わせと素材が生きた手触りだった。

ここ『からん工房』さんでは“手織り塾”というものを行っている。
初心者から経験者まで作品製作に取り組むことができるのだ。
一日だけの“染織体験”ももちろんあるのだが
この“手織り塾”は1週間前後の短期コースと 1ヶ月?3ヶ月という長期コース。
つまりストールからきものや帯などまで、
決して“お土産品”の範疇ではない作品を、教えていただきながら仕上げる。
近くの民宿に泊り込み、あるいは自炊できる場所を紹介していただいて滞在し
どっぷりと石垣島の自然と染織に浸れる時間となるのだ。

        jyuku

宇ゐの町屋で徒然記』でも川平を訪れたことをUPしたが
ここの樹木たちはどれもが強い生命力を感じる。
それらのパワーをもらいながら一枚の布に織る。
一反のきものや帯を仕上げるのは想像をこえる手間だ。
何かに没頭するのには申し分のない環境であり、ただひたすら糸や布と向き合って過ごす日々。。。
時間がゆったりと取れるようになったらぜひ入塾してみたい。。。

                      『手織り塾』に関してはこちらをご覧ください。 


花織みんさ

沖縄の石垣島で織物の工房を訪ねた。
その第一弾。

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『花織みんさ』は“みんさー織”の“いつ世柄”を花織の技法で浮き織にしているもの。
みんさーとは五つの枡と四つの枡柄を織り込んだ木綿の細帯のことで
普通目にする半幅帯よりもだいぶ細い帯。
五ツと四ツは“いつの世(五つの四)までも末永く”という願いがこめてある。
綿狭織(めんさおり)が語源ではないかとのこと。

    五ツと四ツの柄 →minsa1
 
訪ねた『みね屋工房』さんは石垣島の西側に大きな工芸館を持つ会社で
機織風景も見ることが出来る。
八重山上布やみんさー帯、花織みんさの帯のほか、花織みんさをあしらった服飾や小物も販売している。
運良くみね屋工房の女性社長さんにお話を伺うことができた。
現状はやはり民芸品として小物や衣類の販売量が勝っているとのことだが
やはりきものや帯はこれからもっと作って継承して行きたいとのこと。


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石垣市街地内の大川という場所にあるショップ。
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沖縄にはいわゆる“機械織”というものはない。
染料は堅牢度(けんろうど)といって色の耐久性から化学染料が使われることがあるが
織りについては昔も今も人の手によるものだ。
このみんさーも花織みんさも八重山上布も糸を染めてから織られる“先染め”である。
素材は木綿・絹・木綿と絹や苧麻、芭蕉の混紡(ぐんぼう)・そして麻(苧麻)。

今回いただいたのが木綿の八寸帯とやや幅広(17cm幅)の半幅帯。
木綿とは思えないような糸艶のいい帯だ。

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この半幅帯は浴衣はもちろん、夏のきものにも使えそう。(実際にもう巻いてしまっているw)
八寸帯は色からしてもやはり単衣?袷。

みんさー、または花織みんさの半幅帯はゆかたにはほんとに合わせやすい。
巻き心地もいいしゆるみもないのでもっと全国的に普及してもいいような気がする。
色のバリエーションも工房では豊富なのだが
“内地”の店頭にはあまりそろってないのが現状。
希望を言うなら、どうしても色が原色に近いものが多いので
もっと中間色やデザイン的に面白いものがあってもいいような気がする。

祇園のママが祇園祭の宵山で着る竺仙の藍染の白地浴衣用に
花織みんさの藍色の半幅帯を購入して帰った。
これはとても良く合ってきれいだった

工房へはまた近いうちにぜひ伺いたい。

社長さんも社員のみなさまもとても親切にしてくださり
ありがとうございました<(_ _)>

     
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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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