祇園のママの西陣帯(TIBETAN)

久々のカラシ色の無地結城紬。
この紬もかなり年数が経っていて毎年この時期には袖を通す。


     yuhkikarashi


こっくりした色なので墨色のしゃれ袋帯を合わす。
この袋帯、カーペットやラグにある『TIBETAN』というタイトルである。
チベット自治区で生産された手織り絨毯の柄風で
オリエンタルな模様が主体のデザインシリーズ。
質感もツヤ消しの柔らかい手触りで結城紬にはよくマッチする。

 tibetan
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お腹部分は縦ボーダーのみで太鼓部分の紋章ではないから
比較的さっくりとした正面姿になる。

半衿は黒ビーズの変わり編み。
帯締めは黒系、帯揚げは紋章の色でモカ茶にした。

ママのお店は照明が暗めなのでこういったはっきりしたコントラストの
コーディネートは映えやすい。
胸元の色効かせとして黒の重ね衿を用いた。
下前の衿元に半衿と同色の重ね衿は引き立たないがそれが狙い。
上前の帯上胸元部分のみにカラシ色へすぅーっと黒い細い線が半衿で覗く。
うるさくならないようにメリハリをつける手段である。

もちろん草履も黒のエナメル。
出かける際は黒いカシミヤの大判ストールをふわっと巻いて
颯爽とタクシーに乗り込んでご出勤。
かなり冷え込んだ夜だったのでそういう意味でもいい質感と色合いだと思う。





祇園のママ(染め紬:イチョウ柄)

イチョウがそろそろ色づき始めるころとなった。

そこで登場色づき始めのイチョウ柄(そのまんまw)

   mamakimono6


話しは逸れるがイチョウは漢字で“銀杏”とも書くがこれはギンナンとも読む。
ギンナンは実のことを指しそうであえて“公孫樹”と表示。

『銀杏』はそのままでは「ぎんきょう」と音で読むが
中国は唐の音で「インキャウ」と読み、
それが「イキャウ」となってさらに「イチョウ」になったとのこと。

『公孫樹』の名は種を蒔いてから孫の代にならないと実をつけないことから
名前が由来されているようだ。


戻ってきものの話。
帯はイチョウの葉の色から黄色と黄緑色を使った段模様の袋帯。
この時の半衿は茶色のビーズ。

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帯締めはイチョウの幹の色のこげ茶を採用。
帯揚げはその同系色で幹を軸とした裾模様を引き立てる。

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きものの生地は結城紬(恐らく石下結城)らしい。

いわゆる“染め紬の訪問着”なので
しゃれ感を含んだパワーのあるきものだ。
秋の紅葉というと、もみじ(楓)を描いたものが多いが
そういう点でもこの柄のきものは個性的である。

毎年この時期に一度は袖を通されているので
もうかなり柔らかくなっている。(10年以上前に作ったもの)
花街の仕事でも秋から冬は深夜かなり気温がさがるし
見た目もふんわりと暖かそうなので結城紬でも
訪問着や無地であれば着用回数は多い。

季節を限定する柄のきものは“その時期”にしか着られないということにはなるが、
逆に“その時期ならでは”の旬のきものとしての楽しみは大きい。



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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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