結城紬の小巾帯♪

結城紬の小巾帯が到着した。
仕立てる必要もなく、すぐに使える(^ー'*)b

最近の着物でのお出かけ事には暑いこともあって枕を背負ってのお太鼓
ではなく小巾帯を多用している。
この帯も早速結んで出かけた。

この結城紬の小巾帯も前の幅が半分よりやや広い為、帯締めを無理なく結べて前からだとそう略式にも見えないのだ(^。^;)v

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この帯は結城紬の手機で高機織りである。
しっかりと打ち込まれているが結ぶのに苦労する固さではない。
そこが手機のよさなのだろう。
実際にいろいろ結んでみた。

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 桃山と称するいわゆるリボン結び。

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変わり貝の口に帯締めをしたところ。
 
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片流し。左右がアシンメトリーの結び方。

特徴は、適度なハリがあるのでリボンや羽根がだれない。
しかも結び目がしっかりと噛み合い緩む心配がない。
結城の手引き糸を使っているのでほんとに軽い。

真綿の糸を使いながら数本を束にして織られていて
モコモコ感がないのでゆかたや夏物にも使えそう。
つまり一年中使えることになる。

↓畳んだところ。
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かなりのスグレ物なので、今度のTOKYOイベントのために
合わせやすい無地感覚の物を数本お借りすることにした。

その他をご覧になりたい方はこちらまで (*^-°)v 


 
    

結城紬の町へ 〔機織り〕

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ほんとに暑い日だった。
紬の産地の機織り風景は何度か見学させてもらったことはあったが
ここ結城の機織りは、その機が独特なせいもあってまた別の風景だ。
クーラーを使っていないのに部屋の中は不思議と暑さを感じない。

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織り位置(座面)が低いために全体の機の高さも低い。
その分作業場となっている家との密着度を強く感じる。
天井までの空間が空気の流れを感じさせるようだ。

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『地機(じばた)』といわれるこの機は縦糸の端が機ではなく織り手の腰に掛かっている。
織り手の腰で張ったり緩めたりのその微妙な加減が
結城独特のしなやかな風合いになる。

重要無形文化財の指定要件は
 1.使用する糸はすべて真綿から手つむぎしたものとし、強撚糸を使用しない
 2.模様をつける場合は手くびり(手くくり)によること
 3.いざり機(地機)で織ること
の3点。

それ以外は結城紬として総称される。
勿論『高機(たかばた)』織りもある。
作業効率が地機よりもいいとはいえ、手間のかかる作業であることには変わりはない。

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写真は高機の織り始めの縦糸を繋いでいるところ。
一本一本の細い糸を丹念に繋いでいく・・・(ノ_-;)ハア…

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↑高機

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↑筬(おさ)に糸をかけているところ。
コンマ数ミリの金属線の間に器具を一箇所ずつ挟みこんで糸を掛ける。
こういう作業は性格的に出来る人と出来ない人が出てきそうだ。。。(-_-;)・・・

最後に小山市で先ごろ行われた『紬織物技術・交流展示会』にあった結城紬の商標。

            shohyo


地機・高機の商品には『結』の文字の証紙がつく。
(上段の並んでいる証紙が反物の端に貼られる)
機の違いは一番右の証紙の色で区別する。

似たデザインの商標で『紬』の文字のもあるが
それは結城郡石下町(現在:常総市)産の動力機によるもの。
ただ動力といっても人がつきっきりでないといけない。
機まかせにして織ることはできず速度も遅いので
織物のいわゆる織機(ジャガード)とはかなり違う。

しかし、いかに高価な紬でも“着るもの”であることには変わりない。
それぞれのランクはあれ、着ることを様々な角度から楽しんでいける紬に
出会うことが大切なのだ。


結城市、小山市の そののどかな風景のなかで
結城紬はそういう出会いを静かに待っている気がした。




結城紬の町へ 〔糸染めやさん〕

結城紬の製作工程 糸染めやさんへ。   kohya2


糸染めやさんのことを産地では「紺屋(こうや)」さんと言う。
ことわざ“紺屋の白袴”の紺屋なのだがことわざでは一般的な“染め”やさんの事をいうので布に染色をする仕事とある。
かつては染色=藍染めだったのでそういうのだろう。
同じように、昔は結城の柄は縞が主流だったので結城の問屋さんは「縞屋」さんと言う。


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ここ大久保さんの染め場では今も“和釜”を使っている。
左隣のアルミボールの中身は桜のチップ。

明治中ごろまでは藍染めを中心とする草木染めが結城紬の特色だったのだが、
明治後期に人工染料が輸入されると堅牢度(色の丈夫さ)で勝る人工染料が急速に普及した。
その後化学染料の研究も進み今では主流とはなっているが
藍染めも草木染めもその優しい色合いを追求し
注文染め以外にも日々研究努力をされている。

そして染めの技法のひとつの“たたき染め”。

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昔からの技法で、絣糸を色ムラなく染める為に行われる。
このたたき染めによって縛った糸と糸の間にまで十分に染料が染み込むのだ。
ただし、たたき足りないと染料が染み渡らず、たたき過ぎると染み込み過ぎて
その絣くくりの糸は使えなくなる。
絣くくりした人それぞれの加減を知り尽くして微妙な調整をしながらの
熟練を要する作業である。
(写真は動きが早かった為にたたきつけている棒とその先の糸束がブレて消えてしまっています(^。^;) )

この時期の作業場はこのたたき染めの動作も含め、
常時火がおこされている釜を並べての過酷な場所だ。
後のビールが美味しい仕事でもあるのだが・・・(大久保さん談)^^;;;;

藍染めの“すくも”と藍甕。
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床の真ん中に穴があいているのは
冬場気温が下がった時に 炭を入れて甕の温度調節をするためのもの。

藍染めの結城紬はやはり人気は根強く
これを絶やすわけにはいかない。
すくもの選定、染料につける回数で様々な藍色を染め分け、
本藍の深みを表現していく。

良いものには歴史とそれに関わってきた人々の努力が積み重なっているのだと
改めて実感した。


次は 機織り編です^^

結城紬の町へ 〔整理やさん〕

ある夏の一日、結城紬を製作しているところを訪ねた。
結城紬は茨城県の結城市と隣接する栃木県の小山市で主に作られている。
県をまたぐとはいえ半径数キロメートル以内の範囲だ。

もちろん工程による分業の為、それぞれの工程の専門の場所を
地元の縞屋(買継ぎ)さんの方に案内していただいた。

暑い中ほんとにお世話になりました<(_ _)>

まずは『整理やさん』と言われている場所。
製作工程としては最終段階なのだが
注文がついた反物の糊落としをする場所である。
結城紬でこの“糊落とし”は糸や織りと同様とても重要な役割を担う。
この糊抜きの加減で着心地や風合いが左右されるので
着る側にとっては拝みたくなるぐらいいい上がりを期待する工程だ。

柳田さんはもう80歳を超える。
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ベテランというより結城紬の“宝”とも言うべき存在。
目をつぶって生地を触ってもどこのどういう結城紬だかがわかるという。

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濡れて重たい反物を乾かすために丸太に掛けていくのも重労働だ。
今の時期はまだ作業はしやすいらしいが雪も降る冬場はかなり過酷。
ぱしゃぱしゃとリズミカルな動きで糊抜きをこうやって何十年も続けている。

そしてこの糊抜き以外にも着た後の着物の洗い張りをしたりシミ落としをしたりもする。
要は出来上がった着物(反物)をより“イイ状態で着る”為に整理する作業場なのだ。

この柳田さんがため息をもらすようにつぶやいたのは
昨今当然のように仕立てるときに追加される“ガード加工”のこと。
“こと!結城紬”に関しては避けていただきたいそうだ。
本場結城紬は糸に撚り(より)がかかっていない為にガードの薬品が糸の中にまで浸透してしまい、いざ汚れを落とそうとしても落ちないのである。
もちろん強い薬品を使えば多少は落ちるがその反動が必ず風合いに影響される。
決して安価なものではない結城紬。
永く着続けていくためにもそういうポイントは知っておきたいものである。

柳田さん、うんと長生きしてこれからも後進の指導やお説教、苦言も
どんどんお願いします<(_ _;)>


次は 結城の糸染めやさん編です。





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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
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