祇園の仕事と宿題作業

仕事で祇園のママ達の自宅へ毎週数日出向いている。
祇園のママほど着物を着るのなら自分で着れるのではということもよく耳にするが、
着物は着るだけが着物との付き合いではない。
当然肌着関連の手配、小物合わせ、季節取り、出先によって異なる着物選び。。。とあり、
着たあとも畳みや分類、トラブル処理と
様々の手間がかかるものである。

そして仕事着としてではあるが兎に角、着物や帯の数が多い(^。^;)
一番多いママは箪笥五?六竿にもなろうかという数で、
しかもそのほとんど全てを着回す。
パーティなどは政治、宗教、そっち(どっち?w)の筋。。。と様々で
季節や会場、顔ぶれを考慮して着る着物・帯を選び、衿や小物を選ぶ。
店への出勤用のほか、京都ならではの季節イベントなどなど
着る場には事欠かない。お太鼓・角出しと着物の種類や場で結び分けながら
以前に着た着物でも別な帯を合わせたりして新たな発見をしてもらいたいと小物合わせでも工夫する。

着付けの他にも当然付随する“衿付け作業”はその場でもするが
出かけるまでの時間がない状態で呼ばれることが多いので
ほとんど家へ宿題として襦袢とつける衿を持ち帰っての作業となる。

ここ最近は襦袢の背中(後衿)の“衣文抜き”布をつける作業に追われる日々を過ごした。
花街の方達はみな衣文を深く抜く。
その“抜き”をキープするのに襦袢を留める補正のバストパットの紐を
背中の“衣文抜き”のループを通すと抜いた衿が戻りにくいのである。
それを提案した際に『すごくよかった』と味をしめたママは
“あとの襦袢もよろしくね(*^-°)・・・”
かくして 30枚以上(一人分w)はあろうかという襦袢を積んでの作業と相成った。(-_-;)
しかも夏物襦袢は透ける危険があるので布自体は付けられない。
背縫いの布が重なっているところに帯に隠れる位置でループのみを縫いつける。

でも、そういう手間を掛けた分
颯爽とかっこいい着姿で出かけるママを見送る時は至福の瞬間である。


五角形畳み

gokakukei


着付けの講習でこのヒモだたみをお教えすることがあります。
着終わって片付ける時にちょっとの手間ですが
腰ヒモをこの形にたたんでおくと次に使うときに
幅広“だった”ハズの腰紐が細い紐になってしまうことを予防できます。
こうしておくと、締めた時に身体が楽なのは当然ですが
幅広で使うことで摩擦が大きくなり生地にしっかりくいついて着崩れを少なくすることができるのです。ですから、『さぁ片付けよう!』という時に紐をくくってしまわないように
この畳み方を教えてあげるのです。


ある祇園の若いママの家で着付けをしてる時の話。
数日前に紐を五角形にたたんでおくと次に着る時ずれないし身体が楽よ?。
といっておきました。
その次に着付けに行くとなんと紐が五角形になってるのですw(*゚o゚*)w
(確か、このママは五角形畳みできなかったはず・・・)
どうしてなんだろうと訊ねると
なんと!“彼”がやってくれているとのこと!
ママは仕事で大量のお酒を飲み、ふらふらした状態で帰宅するので
脱ぎ散らかした着物を衣文掛けにかけ、帯を畳み、紐を五角形にする・・・この行為を全て彼がやってくれるらしいのです。
(-_-;ウーンおそるべし・・・愛の力w
最初はゆるゆるにしかたためてなかった腰紐も
今ではきっちり結びシワがなくなるほどきれいにたたんでくれています。

ところが数日前私は二人の喧嘩状態を察知できましたw
つまりきものを掛けるところまではしてあったのですが
紐がたたんでなかったのです(;´Д`A ```
『先生鋭いねぇ・・・』とママに言われましたが
わかるっちゅーのw

ちなみに今日はきちんと腰紐がたたんで置かれていました
めでたしめでたしw
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Author:宇ゐ
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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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