“夏きもの・ゆかたの集い@嵐山”

梅雨まっただ中だったが幸い雨も降らず蒸し暑い程度の日になった。

今年の“夏きものの集い”は昨年とは一転、7月入ってすぐの2日。

みなさんのご協力で嬉しいことに40名近くご参加いただいた。
場所は“嵐山琥珀堂”。
天井が高く、スロープ状の階段とシャンデリア。
レトロな内装が着姿を引き立てる。

夏にきものを着るというのはやはり着て行く“場”が不可欠。
“場”があると、きものを着たくなる。

先に“場”を作ることで箪笥を開け、コーディネートに悩み、
そして足りない物を調達する。

また、“夏にきものを着る”という行為そのものが人生になかった人も
“場”が出現することで雑誌を眺め、イメージを膨らませる。

そして実際にその場が現実に、、、

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ゆかたを含め、参加者のほとんどが夏のきもの。
東京や名古屋など遠方からの方も合流。
男性も多く参加いただいた。

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絽・紗・本麻・小千谷縮・夏大島・夏紬・紋紗・木綿・綿麻きもの・そして浴衣。
さらに野袴姿もあり、こなれた着方の方が多かったのは驚き。
着こなし、みなさんほんとに素敵!!!

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今回は通称“武蔵”さんというカメラマンさんもご参加いただき
数々の写真を撮ってくださった。(最初の5枚)

私のつたない写真も含め空気感が伝わると嬉しい。

今回は貸切をしての大勢の会となったが、
こういった会をまた有志もしくは軽い声かけでまた実施したいと思う。


これから夏本番。
祇園祭もあり、その他イベントも多数。

夏きものの出番、“場”さえ作れば・・・(^_^)v


【なれゐて探究会】-麻-

今回の【なれゐて探究会】は夏までもうすぐということで“麻”の探究。

JR宇治駅近くにアトリエがある『青土』さんにてのワークショップである。

私自身も数年前より麻への興味が深くなってきていて、
行ける産地には極力足を運んでいるが
ここ青土さんの麻はやはり“本物”といえる場所だ。

もともと麻は絹のはるか以前より衣服として着られていた。
・・・というか、着るものは麻(葛もあったが)しかなかったのである。
現代は麻=夏だけという認識だが、
絹も木綿もなかった時代には
草の葉から繊維をこそいだり、叩いて柔らかくしたり、裂いて細くして糸を取り、あるいは細かくくだいて綿状にして糸を引いて布に織り上げて衣服としていた。

麻と一口に言うがその種類は実に多く、
大麻(ヘンプ)や苧麻(からむし・ラミー)亜麻(リネン)などなどがその主なもの。
世界レベルでは麻の歴史はリネンが最古といわれているが
日本にこのリネンが持ち込まれたのはかなり後世(明治期)で、
日本での麻は長年“大麻”のみを指していた。
きものの柄にある「麻の葉」文様はこの大麻の葉の文様だろう。
しかし現在の“家庭用品品質表示法”でいう“麻”は
残念ながら大麻は入らない。苧麻(ラミー)と亜麻(リネン)のみを指す。
ここで大麻と聞いて(-ω-ll) ウームとなる方はこちら(麻の総合利用研究センターレポート)をぜひ。


さてこの度の【なれゐて探究会】ではその麻の分類や認識の説明などおおまかな説明。
これからの暑い時期に備えての素材として麻を少しでも知って欲しいとの思いも含め、
青土の橋本さんからいろんなお話を伺えた。

湿気や水が大好きな麻を上手に“手なずける”と
シワ対策や汗対策も想像するほど難しくないということも理解していただけたかと思う。

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そして短い麻の繊維から、きものを織るほどの長い糸にするための
“撚り繋ぎ”という方法も実際に間近で見ることができた。

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現代はちょっとした気候の変動で6月の真夏日も増えて、すぐに30℃近くにまで気温が上がる。
きものをその時期に着るのには季節を守るということも大切だが
それよりもやはり暑苦しくない着こなしで“涼感”が大事。
お祝い事やお茶会などの改まった席でなければ
あづい~~~~~ヽ(;;;´Д`)ノという日にはさらりと麻の着物で出かけたいもの。
ちなみに日本では麻の着物は普段着扱いとなるため礼装では着にくい。

でも実際に涼しいし強い日差しからも肌を守る。
肌着や襦袢、足袋、ショールなどに麻素材のものを選ぶのも効果的。
一年を通してきものを楽しみたいと考えるとこの暑い夏をどう楽しく乗り切るかは毎年やってくる季節だけにぜひおさえたいのだ。

夏は着物は暑い、ではなく
麻の着物で夏こそ涼しく出かける、、、と考えて
そろそろ夏の準備を始めませんか。

【きものなれゐて】無鄰庵でお茶の淹れ方を。

4月の【きものなれゐて】は
桜満開の(ハズだった)岡崎の『無鄰庵』にて開催。
残念ながら前日の風雨でソメイヨシノは花弁を落してしまい…(p_q)

でも、会は楽しく進行。


  無鄰庵1

テーマは
『おいしいお茶の淹れ方教室』。
講師には観月橋近くにお店のある
「㈱カネ七 畠山製茶」の畠山友晴氏。
ウェブサイト『ほっこり庵七之進』店長さん。



このテーマを決めた後に朝日新聞の天声人語でこんな記事が。
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『(天声人語)急須を知らない世代』
 大ニュースではないが、驚いてしまう記事がある。
3年前にこんな記述があった。
ある人が幼稚園で講演したとき、若い母親に「お茶って自分の家で作れるんですか」と聞かれた。
「はい」と答えると、彼女はこう言ったそうだ

▼「私のお母さんがお茶を作っているところ、見たことがない。いつもペットボトルのお茶を飲んできた」。
彼女はどうやら、お茶を「いれる」という言い方も知らないらしい

▼一昨年も似た記事があった。料理教室の先生に、急須を「これは何ですか」と聞く受講生がいたという。
だが、そうした例が驚くにあたらないのを、きのう東京で読んだ記事で知った。
日教組の教研集会で「今の高校生は日本茶の入れ方を知らない」という報告があったそうだ

▼福岡県立高校の家庭科教諭が生徒にアンケートしたら、
冬に家で飲むお茶を「急須でいれる」と答えたのは2割しかなかった。
授業では急須を直接火にかけようとする生徒もいたという

▼おそらくは「粗茶ですが」や「茶柱が立つ」といった言葉も知らないのだろう。
市販の飲料は手軽でいいが、文化や歴史をまとう「お茶」と無縁に子らが育つのは寂しい

▼「客の心になりて亭主せよ。亭主の心になりて客いたせ」
と言ったのは大名茶人の松平不昧(ふまい)だった。
庶民もお茶でもてなし、もてなされる。
いれてもらったお茶は、粗茶でも心が和むものだ。
コンビニエンス(便利)と引き換えに大事なものをこぼして歩いているようで、立ち止まりたい時がある。
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(-_-)ウーム・・・急須をそのままコンロに掛けてしまうというのは驚き。


着物とはちょっと関係がなさそうだが、
かつてはなくては生活できなかったものという点では共通している。
お茶はお茶屋さんの日本茶を“淹れて”飲まない人が増えてしまい、
きものも純日本産よりも他国で生産され、プリントされているものが多くなってしまっている。

今回のなれゐてのテーマはそういう伏線を感じながらのものだった。
お茶をきちんと飲めているだろうか、
美味しく淹れられているだろうか。。。

教室は、お茶の効用、茶葉の見分け方、淹れ方などなど
即、数時間後に実践可能でとてもわかりやすく為になる講習だった。

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利き茶の講習↓
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実際に淹れてその色や香り、味を飲んで確かめて↓
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“便利な”お茶は“便利な使い方”で楽しみたい。
でもホッと一息つく時間ではゆったりと急須を使っての“間”もおいしいものだ。

着物にしても着て出掛ける事と同じぐらい、何を着ようか、どう合わせようかを迷って選ぶ時間もいとおしく思う事がきものの楽しみにもなる。

多くの手が加わっているものは確かに高価だったり簡単には手に入らなかったり、手順やていねいな扱いを伴う。
自分で扱うとなるとその面倒くささは忙しさの中でおざなりになりがち。
手間や価格に関して「こうなればいいのに」ということをかつてから今に至る間に叶って来てしまっている中、
今回の教室では時間を掛けること、手間をかけることに心を豊かにする要素は詰まっていることに気がつく。

こういう身近なことから自然に、シンプルに手を掛けると“和”をより深く楽しめる。

そしてやはり自宅でお茶を飲む際は急須から注ぎたい。



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次回の【きものなれゐて】は
4月29日(月・祝)14時より【なれゐて探究会】となります。
場所は宇治です。
テーマは『麻』。
詳細とお申し込みはこちら



嶋原にて角屋文化講座

今日は、2月の【きものなれゐて】~角屋もてなしの文化美術館 文化講座への参加~
ということで冷たい雪の降る中、お集まりいただきました。

京都の梅小路公園北、中央市場から東南の一角に嶋原が今もひっそりとその古い街並みを残してあります。
嶋原は江戸期以来の公許の花街(歌舞音曲を伴う遊宴の町)として発展した町。官命によって1641年この地に移され、その移転騒動が島原の乱を思わせたことから『島原(嶋原)』と呼ばれました。

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                       〔角屋もてなしの文化美術館〕

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財団法人角屋保存会の中川清生理事長により館内各部屋を案内していただきました。

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二階座敷各部屋の欄間、天井など美術品のような様式美と
場所によって桟の数が違ったり曲げて張ることで凹凸を感じる障子など建築意匠の数々、宴席を照らしていた蝋燭の煤で真っ黒になった襖絵などたっぷりと拝見。

柱にざっくりと深く刀の切り跡が残る柱、西郷隆盛が行水に使った桶など太夫だけでなく、その建物内を闊歩(酔って千鳥足?)していたであろう壬生浪士(新鮮組の前身)達の姿がそこにあるようでした。

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第二部は1階『松の間』にて中川氏の講演。
嶋原の歴史や揚屋の定義、“粋(すい)”に対する概念、
そして文化的意義を裏付ける詩歌俳句資料の紹介などなど。

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寒い日で羽織を着ている人も多く、さながら女性寺子屋風^^


平成22年に「京都市指定名勝」に指定された臥龍松の庭も見事でした。

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解散後は各自島原内を散策、現在も現役太夫さんを置いて営業されている輪違屋さん外観を観たり、
レトロ感たっぷりのcafe&Bar「きんせ旅館」でお茶したりでした。

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          輪違屋さん

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         “観覧謝絶”の札が一見さんお断りの表示


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          カフェ&Bar「きんせ旅館」正面

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          きんせ旅館内①

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          きんせ旅館内②


ご参加いただいた皆様、寒い中ありがとうございました<(_ _)>



次回の【きものなれゐて】は
4月7日(日)の午後より、
満開の桜が美しい岡崎の疎水脇にある『無燐庵』母屋2Fにて
「おいしいお茶の淹れ方教室」です。詳しくはこちら
限定先着12名様です。ご希望の方は早めの参加お申し込みを^^

千両の寺『東林院』~小豆粥の会~

新年初【きものなれゐて】は
会場を使ってではなく“着物で出かける場所”を考えての妙心寺です。

妙心寺には46の塔頭があるのですが、『東林院』さんもその一つ。
月半ばからやっている『小豆粥で初春を祝う会』になれゐてで集まった方々と。

まず梅湯と祝菓子。

小豆粥②

主菓子 松の雪
干菓子 結び笹
昆布  広布(ヒロメ)
柿   嘉来に通じてかき集めるという意
豆   厄払いとマメであることを祝し健康に暮らせるよう
くわい 良い芽がでますようという願い(写真ではくわいのスライスチップ)
みかん 代々つづき栄えるの意

梅湯 梅干しに白湯をそそいだもの。口中の汚れを清め心身の邪気を払う



小豆粥①

冬の午後のやわらかい陽射しでいただく祝菓子。

そして奥の別座敷へ移動して小豆粥のお膳と院内をあちこち見学。

小豆粥③

お膳が出そろったところで“生飯(さば)”という施食をする。
禅寺では受けた食の中から少量の生飯を分かち、庭にそなえて小鳥や小動物に施すという儀式があるらしい。
お寺の係の方が“さば器”を持ってきて各自少しずつ。
小豆粥④

そしてお庭の器にもすでにさばが備えてあった。
小豆粥⑥

いただくものひとつひとつに意味があり、健康を感謝しながら
ゆっくりと滋味深い食事をいただきました。

そしてこの東林院さんには千両の株が多く植わっているとのこと。
中庭は赤い実をつけた千両の群生がびっしりでした。

小豆粥⑫

東林院ではきものの話でついつい長居をしてしまいましたが
そこを後にして、妙心寺初公開の大庫裏(お寺のお客様や行事の際に食事を作る台所だった)を見学。

・・・とそこで私は都合で途中抜けを余儀なくされてしまいました。。。
集まった方々には大変な失礼を<(_ _)>


風や空気がとても冷たい日でしたが、お腹にやさしい小豆粥、千両や枯山水の庭、文化財などに触れる
充実した日となりました。

東林院さんでは隣のお部屋で食事をされている他のお客様も着物姿がちらほら。
着付の知識も基本は必要ですが、やはり出掛ける先があっての着物の楽しみです。
こういう場所へ出かけながら馴染んでいくことで“きもの気分”が増していくのではと思います^^




次回の【きものなれゐて】も講座参加を予定しています。
内容が決まりましたら宇ゐサイト内にてお知らせいたします。
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Author:宇ゐ
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京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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