仕事で着た着物

今週は四国へ。

京都から新幹線で岡山まで1時間。そこからJRの特急に乗って瀬戸大橋を渡る。
     
      seto


ちょうど夕方だったので夕日がきれい

仕事は出張先の呉服店でメーカーさんからの商品の説明と来場されるお客様へのコーディネート。
そしてそこの着物を着てのサンプル的(モデルではないw)なアピール。
そこでは用意された“お仕着せ”着物を着るのである。
久々の借用着物の着用だがホテルについてフロントに届いていた着物と帯を
恐る恐る開く。

自分で選んで着るものではないので緊張の瞬間だ
色はまずまずだった・・・が・・・
裾になにやら柄があるw

    sukui1


( ̄_J ̄)ん? ピエロ?

しばし絶句。。。こういうことはあまりないのだが
まぁこの企画の展開上止むを得ないか。。。(-_-)
やはり自前の着物と違い、自分が喜んで着るイメージとは違うものも着なくてはいけない。

昔、アドバイザーの仕事を主としてやっていた時は
実にいろいろな着物をお借りして着た。
当然買おうと思っても手がでないものもあるし
手を出したくないものを着なくてはならない時もある。
デモンストレータとしての意味合いもあり、
“ここの着物を仕立てて着るとこーなるのです”という趣旨もある。

ちなみに今回のコーディネートはメーカーさんから小物まで添えてあった。

    sukui2


柿渋染めの糸ですくい織りのピエロ柄の紬の附け下げに
やはりすくい織りの袋帯。
帯揚げがやや青すぎなのでベージュに変えようか。。。
自分向きの小物は常に出張に持っていくので変化させるのにはことかかない。

しかし、こういう少し微妙な可愛らしさのある着物は持っていないし
恐らく今後も持たないと思うのでかえって着るとどうなるかが少し楽しみでもある。

...A=´、`=)ゞ

クリスマスのディスプレー

santa


今日は室町の町屋の佇まいの問屋さんへ。
来年の仕事の打合せだったのだが
愛らしいサンタさんのディスプレーを眼にして思わずパシャリw

後ろは友禅の名古屋帯。
雪の文様の帯は何気にクリスマスらしくてイイ感じ。

アベックサンタさんの下の雪のような物は
もちろん真綿。

先日“真綿”が綿(木綿)だと思っておられる人がいたが
真綿は絹です<(_ _)>

繭をお湯で炊いて少しずつ広げていくと写真のようなふわふわ状態になる。
以前このブログで紹介した結城紬の“手引き真綿紡ぎ糸”は
このふわふわの帽子のような状態から繊維を丁寧に引き出して糸にする。

昔(いったいいつを昔というのか定かではないが)は
この真綿は布団の材料としてポピュラーな物だった。

他に“丸ぐけの帯締め”の中身も真綿だったようだ。
婚礼の際の白無垢やアンティークで真綿芯の丸ぐけ帯締めは
今でもあるし、レトロ調子を表現する小物には丸ぐけ帯締めが
一段とその趣を添える。
しかし、現代で作られているものは切れたり寄ったりしないアクリルの毛糸を芯にしたものとなってきているらしい。
国産の繭も減っているし、わた状の化学繊維も多種出てるので
コスト・耐久性に於いては人工的な物の方が手芸などに使うのには
いいのだろう。

サンタさんがのんきに座っている真綿にも
厳しい時代となっている。。。。

撮影カメラマン

きものPHOTOの撮影をした。

いつもお願いしているカメラマンN氏のスタジオである。

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今回もモデルさんは使わないのでトルソにさくさくと着付ける。
普通パンフレットなどの撮影でモデルさんに着付ける時はほぼ一日を費やすことが多いが
こういうケースはカメラマンと私の都合のみで進められるのでカット数にもよるが、かなり時間の短縮ができる。

このN氏とはいろんな話をするのだが、
長年京都の着物業界を相手に仕事をしているせいか
その見方はかなり的を得ている。
業界内部や着物自体を作っている本人では気づきにくいことも的確に厳しい指摘をする。
ファインダーから覗く世界は撮影対象物のみではない。

ある意味、誰よりも商品を凝視しているのだろう。
商品の魅力を引き出し、
そして写真を通してそれを見つめる消費者の目も感じていないと
いい写真は撮れないのだ。

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予定のカット数を立て続けに撮ってもらい早い時間に終了。
食事をしながら次に撮る写真のイメージなどの話をする。
今回はかなりマジメな話に終始した。

ほんとは茶目っ気の多いカメラマン。
その年賀状ではかなり“壊れた(?)”ビジュアルをセルフタイマーで撮って
送ってくるw

年頭にそれを見るたび業界相手のストレスがなくならないんだろうなぁと思うのは私だけだろうかw





五角形畳み

gokakukei


着付けの講習でこのヒモだたみをお教えすることがあります。
着終わって片付ける時にちょっとの手間ですが
腰ヒモをこの形にたたんでおくと次に使うときに
幅広“だった”ハズの腰紐が細い紐になってしまうことを予防できます。
こうしておくと、締めた時に身体が楽なのは当然ですが
幅広で使うことで摩擦が大きくなり生地にしっかりくいついて着崩れを少なくすることができるのです。ですから、『さぁ片付けよう!』という時に紐をくくってしまわないように
この畳み方を教えてあげるのです。


ある祇園の若いママの家で着付けをしてる時の話。
数日前に紐を五角形にたたんでおくと次に着る時ずれないし身体が楽よ?。
といっておきました。
その次に着付けに行くとなんと紐が五角形になってるのですw(*゚o゚*)w
(確か、このママは五角形畳みできなかったはず・・・)
どうしてなんだろうと訊ねると
なんと!“彼”がやってくれているとのこと!
ママは仕事で大量のお酒を飲み、ふらふらした状態で帰宅するので
脱ぎ散らかした着物を衣文掛けにかけ、帯を畳み、紐を五角形にする・・・この行為を全て彼がやってくれるらしいのです。
(-_-;ウーンおそるべし・・・愛の力w
最初はゆるゆるにしかたためてなかった腰紐も
今ではきっちり結びシワがなくなるほどきれいにたたんでくれています。

ところが数日前私は二人の喧嘩状態を察知できましたw
つまりきものを掛けるところまではしてあったのですが
紐がたたんでなかったのです(;´Д`A ```
『先生鋭いねぇ・・・』とママに言われましたが
わかるっちゅーのw

ちなみに今日はきちんと腰紐がたたんで置かれていました
めでたしめでたしw

本質を照らす

今日、撮りためてたDVDを見ました。
NHKのプロフェッショナルという番組なのですが
ライティングデザイナーの内原智史さんという方にスポットを当てていて、とてもいい話を聞きました。
“光で建物の本質を照らし出す”ことを内原さんはいつも試みているそうです。
単に建物に照明を当てるのではなく、建物の本質、周囲の環境や歴史を照らしていくことがそれを見る人に様々な想いを感じてもらえるという話です。

着物に置き換えてみますと・・・
着物を着ている人がいるとします。それを見る人は“きもの”見ているよりも、“着姿”をみているのではないかと思います。
“何を”着ているのかよりも“どう”着ているか。。。

つまり“きものを着る”という行為を着ている人がどのように捉えているかをなんとなく感じて『素敵』『可愛い』『おしゃれ』といった表現になるのでしょう。
確かにきものをキレイに着るためにはそれなりの習熟は必要です。
ただ、“きもの”や“着付け”に捉われすぎて“着姿”という本人ならではの本質を醸している表現まで至らずに
頑張って着ているように見えることもしばしばです。

肩の力を抜いて自分らしい着方をすることが着る本人も周囲の人も楽しめるのではないでしょうか。
何気なくきものを着ているように見えるときはかなり計算されているもの。
衿の色、小物の色や草履、足袋までしっかり考えて、最終さりげなく見えるようにしたいと考えます。

もちろん自己表現の場としてきものを着る場合もあると思いますが
それはそれでしっかり演出し、
単なるお出かけでは自己の本質にウソをつかない着方をしたいものです。

きれいな着付けや何を着るかということは“着姿”“着方”を洗練させる一つの方法ととらえつつ、小物に至るまで手間をはぶかないということが着る本人の満足度や見る人、同行する人への好感へと繋がるのだと思います。

参考:NHKプロフェッショナル“光よ深きものを照らせ”
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宇ゐ

Author:宇ゐ
宇ゐのキモノブログへようこそ!
京都で着物スタイリスト、着付コーディネートをしています。
きものに関する出来事や気がついたことなどを綴っていきます。

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